映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記
やはり新作は楽しい。リメイク版はなんだかんだ言って過去作と比べてしまうし、大まかなストーリーも頭に入ってしまっているので余計なところに目が行ってしまう。それに過去作は感性豊かな子供の頃に観たのだからそのハードルはなかなかに高い。
しかし、本作はだいたい予測の範囲内の展開と演出が続き、思っていた通りの落としどころに落ち着いた感が強い。子供向けの映画、永遠のマンネリズムと言ってしまえばそれまでだが、これで子供達の心に何か爪あとを残すことができるのだろうか(ひょっとして残しちゃダメなのか)?
なぜか企みを独白する悪者、葛藤も無く見知らぬ星の人たちのために命を懸ける主人公達、巻き戻しでリセットされる悲惨な結末。何かひとつでも尖ったこだわりポイントがあればと思いながら見続けたが、残念ながら見つけられなかった。市村正親、田中裕二、観月ありさなど豪華声優陣を起用しながら、魅力の無い悪役も原因の一端か。田中さん演じるハイドをもっとマイクに寄せて、怖くない外観というコンプレックスのために怖い宇宙海賊を装っているとか、市村正親は遅くに出来た子供がかわいくて仕方ないために、おもちゃとしてダイヤを取り出そうとするとか。悪役に対する愛情がないから、彼らがその後どうなったのかは全く描かれない。
かと言って、主人公達に対しても愛情が感じられないのはさらに問題だ。のび太の特技があやとりなのは、ネット状になって敵を締め付けるアイデアを思いついたからだろうし、ドラえもんが頭突きが得意なんて設定は聴いたこともない。のび太の特技が射的でない理由や、しずかちゃんのお風呂好きって特技?という疑問を自分へのツッコミ台詞だけで封じてしまう。
最近のドラえもんはそうなのかもしれないが、制止役となるべきドラえもんが一番ノリノリで突っ走るところにも違和感を感じた。
あと、せっかく映画の中で映画を撮るという話なのだから、バーガー監督の撮影と編集を経てさっきの演技がどのように「映画的」になるのかという件を入れたら良いのに。当然エンドロールで流れるのかなと思っていたら見事に肩透かしを喰らった。
次回作は「ぼく、桃太郎のなんなのさ」のリメイク?
以下、箇条書き。