SASAKA's Memo

消費したものや感じた事のメモです。

幕が上がる

 特にももクロのファンという訳ではないが、5人の名前や色、これまでの経歴を知っているくらいのNegiccoとバニラビーンズのファンが「幕が上がる」を鑑賞。

 本広克行監督には散々やられているので、斜め目線からの楽しみ方ができれば良いと思っていたが、「幕が上がる」時には目に涙をたたえていた(こぼれ落ちはしない)。

 主人公の独白で多くの情報が語られるあまり好きではないスタイルだったか、なぜか受け入れていたのは、自分にあまり情報のない高校演劇という舞台と、同じく想像もできない女子高生の気持ちであるせいか・・・。

 また、ももクロの5人には敢えて言及しないが、吉岡先生役の黒木華さんの演技に非常に説得力を感じた。強い意志と部員への愛情、でも非常に不器用な部分。同時にニセ蒼井優などと揶揄していた自分を罰したい気分に。

 天竜源一郎氏が画面に顔を見せる度に、思わず顔がほころんでしまう。娘役のしおりんが滑舌悪いのは遺伝というネタが出てくるのを確信していたものの見事にスルー。それでも満足の配役。

 ただ、本筋が比較的オーソドックスな演出で語られるので、そのリアリティラインを超えてくる本広監督らしい演出に少し違和感を覚える部分があった。川西さんの両親の過剰な演技や細かいももクロネタ(なぜ相手の飲み物を取る必要があったのか)、最後の豪華な家族達の登場などノイズでしかない。

 また、断片的に挿入される本物の高校演劇は明らかに主人公達の作品とは異なるものであり、全国大会という彼女達の目標の信憑性がゆらいでいたのも確か。それでも、ももクロというがむしゃらに苦難を乗り越えながら今のポジションを築いた希有なアイドルと、平田オリザという演劇の鬼の邂逅は、確かに単なるアイドル映画というだけでは済ますことのできない、新たなベクトルを示してくれているように思う。