スティーブ・ジョブス
映画の日であったこともあり、珍しく公開初日に鑑賞。混んでいるかなと思っていたが、七分くらいのお客さんの入りだろうか。
ジョブスの人生を通じてどんなテーマを掲げているのか楽しみにしていたが、何を言いたいのかうまく伝わってこなかった。
LSDや裸足生活、インド旅行などの典型的なヒッピー描写があるので、「人生何を信じるかではなくて、どう信じるか」みたいなテーマかと身構えたが、後年の禅思想への傾倒や肺がんが発覚してからの新境地への到達は描かれない。確かに冒頭シーンが社内でのiPodの発表だからあそこがこの映画のゴール。
特にジョブスの変化があまり描かれないのは問題があると思う(気づけなかっただけ?)。ヒッピー姿からスーツ姿に。そしてアップルに復帰するころにはジーンズ姿に。でも中身はジョブスのまま。マークラの追い出し方がビジネス的でスマートになっていたり、否定していた子供と会うようになったのはうっすらと描かれていたが、それで復帰できたの?やはり映画なんだから、何か成長や変化があって、次のステージに行かないと。ジョブスについてはドキュメンタリーもあるんだから、事実はそっちに任せたらいいのではと思ってしまった。ネクストやピクサーで何が起こったかを描かないと・・・。
また、実話インスパイアードものでよく見られるこんなに実物に似せましたよ自慢は必要かしら?アルゴでもエンディングで本人の写真が出てきたけど、その労力を脚本や編集に使ったら?と思ってしまう(アルゴは面白かったけど)。
ソーシャルネットワークではハッキングの過程をスタイリッシュに描くシーンがあったが、本作では普通の人にはアップルやマッキントッシュの何が凄かったのかまるで分からないと思う。まぁアップルが好きで、1984や膨らむゴミ箱、砂糖水にニヤッとしてしまう人にはそれだけでうってつけの映画ではなかろうか。
俳優人はアシュトン・カッチャーをはじめ、みんな熱演していたと思う。60-70年代のアメリカの雰囲気が良く出ていた。
ちなみにジョナサン・アイブが偉そうなことを言うシーンではうっすら泣いてしまった。