SASAKA's Memo

消費したものや感じた事のメモです。

ゼロの焦点

何度も映像化されているので、大まかなあらすじや犯人は知っていたものの、改めて読了。

 

慎ましやかでありつつも、積極的な行動で犯人に迫る主人公が戦後の女性としての価値観を体現しているように感じられ、前世代の戦争に翻弄された女性としての犯人との対比が際立つ(設定では僅か10歳ほどの年の差であろうか)。「砂の器」もそうだが、推理小説という形をとった静かな描写が、より人間の弱さと強かさを鮮やかに感じさせることに成功している。崖の上での犯人による独白などは必要ないのである。

 

昭和30年代の社会風俗に触れることができるのも楽しい。

 

以下箇条書き。

  • お見合い結婚した直後に失踪した夫との愛情を想像するのは現代では難しいだろう。
  • やはり鵜原謙一は最低人間だと思う。
    • 偽名を使って昔しょっ引いていた女性と同棲開始。
    • 犯人にプレッシャーをあたえるのを承知で、金沢赴任を何度も延期。
    • 二重生活を終わらせるために見合い結婚を敢行。
  • 実態の無い曾根益三郎を元工員と偽装する方が危険。
  • 本多さん、朝から出されたウイスキーをまんまと飲んじゃダメ(前の事件と同じ手口なんだけど、それだけ当時は貴重だった?)。
  • 犯人はなぜ、どこから船に乗った?
  • 広末涼子の映画版も観てみよう!

 

ゼロの焦点 (新潮文庫)

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ゼロの焦点

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