桐島、部活やめるってよ
町山智浩氏の話を視聴以来、映像化作品と原作を比較するのが面白くなっているので、朝井リョウ氏の作品を初体験。
原作は比較的桐島の存在感は希薄で、直接的に影響を受けるバレー部の章以外では言及自体も少ない。テーマもそれぞれの章で多様である。もちろんスクールカーストは大きなテーマのひとつだが、男女の構造の違いが強調されているように感じた。男世界では身分の差を越えて宏樹が前田や野球部キャプテンに共感というか憐憫の念を覚えるが、女子ではそれがない。中学時代のかすみは部活内でいじめられていることを知っても、友人に話しかけるが、高校生となった彼女の描写にはそのような理不尽と対峙したような成長は見られない。いつでも無難な対応を見せる彼女は、二人の友人の間で卒なく個別に対応しているのだろう。もしかしたらその二人とは疎遠になっているかもしれないとさえ感じさせる。
経験上、学生時代は知らないうちに身分がなんとなく与えられていて、自ずとその役割を演じていたように思うのだが、普通はこのように自覚的に自分のポジションを捉えているのだろうか。世代間の差なのか、環境の差(自分は私立の進学校)なのか、自分が鈍感だっただけなのか・・・。
映画化にあたって明らかに桐島の存在感が増したのは、演劇人でもある脚本の喜安浩平氏の影響が大きいのだろう。小説版くらいの設定の方が現実味があるのは確かだろう。桐島がいなくなっても、粛々とそれぞれの生活は続いていくという感じ。かすみの章に至っては中学時代の話となる。
先に触れた映画の方に軍配が上がった。
以下箇条書き。
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