SASAKA's Memo

消費したものや感じた事のメモです。

キサラギ

伏線回収系の話が好きだと話したところ、知人から強く薦められてレンタル視聴。

 

結論:彼女とは友達になれそうもないわ。

 

まず、伏線の回収というより後付けの強引な設定ばかりだったように感じたのが一番。例えば、亡くなったアイドルの追悼会に集まった5人のファンのうち、主人公を除く4人が友人(行きつけの雑貨屋の店員)、彼氏、マネージャー、父親という非常に彼女に近い存在だったということが明らかになるのだが、何か伏線あった?デブで茶髪のマネージャーの話になる度に気まずい顔になるとか演出してた?まずそんな近しい人達が一ファンの掲示板に長く投稿を続けている設定に納得が行かない。彼氏は毎日欠かさずアクセスし、父親に至っては娘の部屋に忍び込んだ得た情報をこれ見よがしに匂わせる投稿をしている。アイドル厨を馬鹿にしているとしか思えない。家元(主人公)のアナログなスクラップのコレクションも「俺が考えるアイドルオタク感」満載で鼻持ちならない。しかも、同じ形式で死亡記事もスクラップするだろうか?

 

それぞれのエピソードに出てきたアロマキャンドル、好きなキャラクター雑貨、ゴキブリ退治のアドバイス、ファンレターが事故原因だったという部分は一応前述の話をまとめているが、それって自殺よりも残酷だと思う。新たな仕事への挑戦を心に決めたアイドルが、5人が少しずつ関与した結果、事故で焼死してしまったのだ。何で晴れやかな顔して皆でプラネタリウムを眺めてるの?天体観察が好きだったとかエピソードあった?

 

そして、恐るべきことにエンディングで今まで不明瞭にしてきたアイドル「如月ミキ」がばっちり顔を出すんですね。30秒ほどこれは誰だ?って感じで画面を凝視してしまいましたが、おそらく誰でもない全く知らない女優さん・・・。意味が分からない。宍戸錠が出てきて何か言っていたが、もう怒りで耳に入らなかった。

 

以下箇条書き。

 

  • そもそも舞台どこよ?最初の家元がビルの中をスーツケース引いて歩く画を撮りたかっただけだろ。
  • 安男が度々退席していた理由は?別にいても良かったのでは?
  • モーニング娘のリーダーになったばかりの矢口を脱退させた小栗旬が、アイドルの偶像としての殉教にむせび泣く姿は喜劇としかいえない(どっちが先?)。考えてキャスティングしてたら見事だと思う。
  • あっ、最後の如月ミキ登場は「こんなD級アイドルに5人も貴方も熱くなっていたんだよ」という皮肉?
キサラギ スタンダード・エディション [DVD]

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桐島、部活やめるってよ

町山智浩氏の話を視聴以来、映像化作品と原作を比較するのが面白くなっているので、朝井リョウ氏の作品を初体験。

 

原作は比較的桐島の存在感は希薄で、直接的に影響を受けるバレー部の章以外では言及自体も少ない。テーマもそれぞれの章で多様である。もちろんスクールカーストは大きなテーマのひとつだが、男女の構造の違いが強調されているように感じた。男世界では身分の差を越えて宏樹が前田や野球部キャプテンに共感というか憐憫の念を覚えるが、女子ではそれがない。中学時代のかすみは部活内でいじめられていることを知っても、友人に話しかけるが、高校生となった彼女の描写にはそのような理不尽と対峙したような成長は見られない。いつでも無難な対応を見せる彼女は、二人の友人の間で卒なく個別に対応しているのだろう。もしかしたらその二人とは疎遠になっているかもしれないとさえ感じさせる。

 

経験上、学生時代は知らないうちに身分がなんとなく与えられていて、自ずとその役割を演じていたように思うのだが、普通はこのように自覚的に自分のポジションを捉えているのだろうか。世代間の差なのか、環境の差(自分は私立の進学校)なのか、自分が鈍感だっただけなのか・・・。

 

映画化にあたって明らかに桐島の存在感が増したのは、演劇人でもある脚本の喜安浩平氏の影響が大きいのだろう。小説版くらいの設定の方が現実味があるのは確かだろう。桐島がいなくなっても、粛々とそれぞれの生活は続いていくという感じ。かすみの章に至っては中学時代の話となる。

 

先に触れた映画の方に軍配が上がった。

 

以下箇条書き。

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]

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桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

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桐島、部活やめるってよ

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鹿の王

本屋大賞を受賞したことを受けてKindle版を購入。

 

上橋菜穂子氏の著作は初めてだったので、その重厚な世界観には率直に驚いた。特に科学的考証と独自の世界観の融合のバランスが絶妙で、過去に実際にこのような国があったのではないかと感じられるほどだ。あとがきにて本作のイメージになった二冊の生命科学系の書籍が具体的に紹介されているが、現代の創薬にも通じる普遍的な医学的探求の概念も至極的を得ており、医学を気軽に知るためにも有用な本かも知れない。(漢字を用いる顔の平たい族による)大国である東乎瑠帝国(中国?日本?)の医術は宗教と一体化した儀式的な側面が高いものであるという設定も面白い。

 

自身の行為が医師としての使命によるものなのか、個人的な好奇心によるものなのか煩悶するホッサル。大勢の命を救うために、少人数を犠牲にしても良いのかなどと言った創作物の定番のテーマが織り込まれる。特に群れのために踊るような仕草で天敵を引き付ける「鹿の王」は、自己犠牲などと言った尊いものではなく、アポトーシスを起こす細胞のように、単に役割を与えられただけという発想は面白い。そして読者は、長い旅の中で別の役割を与えられたヴァンが「鹿の王」とならないことを願いつつ本を閉じるのだろう。

 

難点は独自に創作した耳慣れない言葉や名前が頻発しており、しばしば内容理解に支障がきたす部分は確かにある。個人的には海外推理モノなんかと比べるとその頻度は少なかったように思えるが、全く苦痛を感じることなく読めるのはファンタジー小説に慣れ親しんでいて、物語の視覚化が得意な層だけではないだろうか。アニメ化が期待されるが、今わたしの中にいる貞本義行風ヴァン像が消されてしまうのはまた悲し。

 

守る人シリーズも読んでみよう。

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐
 

 

鹿の王(上下合本版)

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映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~

B級グルメサバイバル、逆襲のロボとーちゃんと秀作が続いたので、少しハードルが上がってしまっていたのかもしれないが、残念ながら期待値には届かなかった。

 

前回の「父親とは何か」から「家族の団結」がテーマとなっている。メキシコ赴任が決まって勝手に単身赴任を決める冒頭から、度々家族のために身体を張るひろしの行動がすかされ、最後は皆で協力して問題を解決する。これは最近の物語で頻発される「尊い自己犠牲」を嘲笑しているように感じられた。

 

幼稚園のみんなの活躍が見られないのは寂しいが、引越しのシークエンスは泣かせる。みんなから貰った餞別の品が最後の武器になる展開もぐっと来る。風間くんとの別れ、再会を匂わせる最後のシーンでのみ泣いてしまった。日本帰国後を描かないのは上品で良いと思う。

 

サボテンについてあれこれ屁理屈を捏ね回さないのが「遊星からの物体X」みたいで好感が持てた。ただ人を食う未知の食虫直物だと。内部に水をしこたま蓄えているサボテンの弱点が水というのは首をひねらざるを得ないが、あのクリーチャー感は良く出来ていると思う。音に反応は「ワールドウォーZ」か。最後はまだ未消化だったということで食べられた人も救出されるのだが、消化されてないならどうして巨大化してたの?

 

以下箇条書き。

  • 池上さんパロディ必要ある(旬じゃないし本人でもない)?
  • 日本エレキテル連合は子供が笑っていたので良し(でもあのネタギリギリだよな)。
  • 逃げ込んだバーのミスト感よし。
  • 村の発展に固執する町長は「ジョーズ」の市長?
  • トイレに行っている間にマリアッチがオカマになって戻ってきてた。

 

 

 

ゼロの焦点

何度も映像化されているので、大まかなあらすじや犯人は知っていたものの、改めて読了。

 

慎ましやかでありつつも、積極的な行動で犯人に迫る主人公が戦後の女性としての価値観を体現しているように感じられ、前世代の戦争に翻弄された女性としての犯人との対比が際立つ(設定では僅か10歳ほどの年の差であろうか)。「砂の器」もそうだが、推理小説という形をとった静かな描写が、より人間の弱さと強かさを鮮やかに感じさせることに成功している。崖の上での犯人による独白などは必要ないのである。

 

昭和30年代の社会風俗に触れることができるのも楽しい。

 

以下箇条書き。

  • お見合い結婚した直後に失踪した夫との愛情を想像するのは現代では難しいだろう。
  • やはり鵜原謙一は最低人間だと思う。
    • 偽名を使って昔しょっ引いていた女性と同棲開始。
    • 犯人にプレッシャーをあたえるのを承知で、金沢赴任を何度も延期。
    • 二重生活を終わらせるために見合い結婚を敢行。
  • 実態の無い曾根益三郎を元工員と偽装する方が危険。
  • 本多さん、朝から出されたウイスキーをまんまと飲んじゃダメ(前の事件と同じ手口なんだけど、それだけ当時は貴重だった?)。
  • 犯人はなぜ、どこから船に乗った?
  • 広末涼子の映画版も観てみよう!

 

ゼロの焦点 (新潮文庫)

ゼロの焦点 (新潮文庫)

 

 

ゼロの焦点

ゼロの焦点

 

 

点と線

時刻表物の先駆にして最高傑作のひとつとされる本作はさすがの一言。

 

トリックに焦点が当てられがちだが、夫の愛人を公認しつつも嫉妬を覚える病弱の妻や、その愛人を商売のために殺害する夫など、人の暗部の描写が実は恐ろしい。しかもそれらは当事者によって語られたり、心情を直接描写される訳ではなく、あくまでも刑事からの目線で述べられるので、その嫌悪感が増幅して伝わる。そして、松本清張のテーマである「政治家や官僚組織の狡猾さ」ももちろんそこに加わる。

 

ただ今読むと、刑事の直感に基づいて行われる粘り強い捜査にもそこはかとない気持ち悪さを感じる。一度決めたストーリーに沿って証拠品の捏造・無視や証言の強要をする昨今の検察や警察の不祥事を思い起こさせることも確かである。本作が彼らのバイブルのひとつになっているのかもなどと思いつつ・・・。

 

以下箇条書き。

 

  • 福岡県警の刑事と警視庁の刑事の往復書簡の挟まる構成は素晴らしい。
  • 社長自ら奥さんも伴って殺人とはリスクが高過ぎる。
  • 昭和の風俗に触れられるのがまた良い。

 

点と線 (新潮文庫)

点と線 (新潮文庫)

 

 

点と線

点と線

 

 

 

スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号

昨年の平成ライダーvs昭和ライダーに続いて、どうやって仮面ライダー同士のバトルを作るのかと考えた結果、めちゃくちゃになった印象。このくらいの心意気でタイムパラドックス物に手を出したらダメだ。収拾がつかなくて、ダメさに言及しようが無いほど(それを狙った?)

 

最後のV3の「本当の3号は君だ」という発言に吹いてしまう脚本って・・・。

 

ツインリンクもてぎの看板が丸見えのレースシーンはCG全開でそれらしく作ってあったが、ベンハーの戦車レースを意識したらしいが、怒られるぞ。じゃあ、仮面ライダーをついつい応援してしまう民衆が次々と出てくる場面はスパルタカスオマージュ?

 

最大の問題は仮面ライダーマッハの死問題だろう。劇中唐突にピンチに陥っても何故か回りに数多いるはずのライダー達の助けのないままにやられてしまうマッハ。そして歴史改変装置を破壊して全部元通りよの強引な展開の中、マッハの死だけは取りこぼされたと葬儀シーン。劇場鑑賞特典の仮面ライダー4号のDVDを観て何となく事情が掴めるものの、1話のみなので続きは有料動画へ。もう憤りしか感じない仕様。

 

以下箇条書き。

  • 何で霧子だけ歴史改変前の記憶?
  • 世界が変わったことを表現するために繰り返される警察署内でのコントが意味ない。
  • 高田延彦は怪人になると少し細くなる(「出てこいやー」はあります)?
  • あ、井出らっきょだ。
  • 実は仮面ライダータウンじゃなくて、ショッカータウンでした・・・。
  • レースで空飛んじゃダメだろ。
  • 「1号と2号を抹殺してしまったために、勝つことに異常に執着する」ってどういう理屈?
  • 仮面ライダーGPは最強の仮面ライダーを決めて、ショッカー首領が身体を乗っ取ろうと始めたはずだが、乗っ取られるのは負けた3号。
  • 3号の身体を取り込んで実体化したはずのショッカー首領が、3号が離脱した後でも存在している(なぜか1号、2号も首領から飛び出してくるのはご愛嬌)。
  • 倉田てつを復活しすぎ(最後の衣装は白いからね)。
  • 歴史改変ビームって次々と消えていく仮面ライダー達(まさに最終兵器)。
  • ニンニンジャーの登場が唐突過ぎ。そしてドライブとのコラボがダサい。
  • 歴史が元に戻った時に、消えていく及川光博仮面ライダーからF1レーサーになっている)